育児短時間勤務とは?育児短時間勤務中給与について
平成29年1月に改正された「育児・介護休業法」により3歳までの子供を養育中の労働者は、原則6時間の所定労働時間で働ける「育児短時間勤務」が企業の設置義務となっています。
改正では、新たな制度や見直しが図られており「ハラスメント防止措置義務」の新設、介護をしている労働者に対して短時間勤務や時差出勤などの選べるよう「選択的措置義務」などの見直しが図られています。
法律で定められた労働者に与えられた権利であり、企業側が拒否をすることは基本出来ません。ぜひ、有効的に活用しましょう。
この記事では、「育児短時間勤務とは?育児短時間勤務中給与について」(通称:時短勤務)を解説します。
誰が利用できるの?
就職している企業規模に関わらず、3才までの子供を養育する従業員が対象です。
男性も女性も問わず、有期雇用契約者も対象です。但し以下は適用除外者となり利用できません。
●1日単位の雇用
●1日の所定労働時間がもともと6時間以下
ただし、労使協定により「適用除外の労働者」については企業の裁量で、以下を除外することが認められています。
●1週間の所定労働日数が2日以下
●業務の性質上どうしても制度の適用が困難
⇒業務の性質上どうしても制度を実施できない場合は、以下のいずれかの代替措置をとることが企業に義務付けられています。
●フレックスタイム制度
●始業・終業時間をずらす時差出勤制度
●子供が入所できる保育施設の設営、その他これに準ずるような便宜を図る
労使協定では、過半数組合または、過半数代表者と企業(事業主)の間で協定の締結が必要となります。つまり、企業が一方的に1年に満たない人、週の労働日数が2以下、性質上難しいかららと理由で、「適用除外の労働者」とすることはできません。
厚生労働省の「育児・介護休業法」の指針では、適用の除外にせず、労使と企業(事業主)の間で工夫し適用の対象とすることが望ましいとされています。
いつまで利用できるの?
子供の3歳の誕生日の前日まで利用可能です。
それ以降の適用も奨励されており学校入学や小学校卒業までなど、企業によりまちまちです。3歳誕生日以降も制度の利用を検討している人は、早めに会社の福利厚生担当へ確認をしましょう。
勤務形態は?
一日の所定労働時間を原則6時間(5時間45分~6時間)とすれば、具体的な勤務形態は企業に委ねられています。これは、フルタイムの原則8時間の場合、実質労働7時間45分としていることなどを理由に、考慮されています。
5時間や7時間など従業員の状況に応じて柔軟に決めることもできますが、本人が6時間を希望したら、6時間にしなければならないことになっています。
例えば、以下のような勤務形態のバリエーションが考えられます。
●出勤日数を隔日などに減らして週単位の勤務時間を減らす。
●半日勤務とフルタイム勤務日を組み合わせる。
労働者が勤務形態に合わせるのではなく、自分の生活スタイルに合わせた、勤務形態を選ぶことができます。
給与は?
育児短時間勤務中は短縮された勤務時間に応じて給与は減額となり、賞与も労働時間と給与が考慮されるため、たいていは減額されます。ただし、短縮時間分以上に不当に減額することは禁止されています。
基本給は、フルタイム8時間から時短6時間へ変更で25%支給される給与が減ります。
基本給以外では、以下も0円又は減額となります。
●ボーナスが基本給に合わせて減額されます
※ボーナスも基本給同様に、時短勤務だからと理由で、評価せず不当に減額するのは法律で禁止されています。もし、計算してみて少ない場合は、上司へ相談しましょう。
支払う社会保険料は給与に応じて多少減額にはなりますが、下げ幅はとても少ないので手取りの給与は大幅に減った印象になります。
社会保険料は、前年の4~6月の給与を元に算出されています。時短勤務にしたら自然に巣社会保険料が減額されるわけではありません。会社へ「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出し、時短勤務の給与に見合った額が納められるよう変更が必要です。
まとめ
育児短時間勤務は育児と仕事の両立を支援する制度です。仕事か育児かの二者択一を回避するための、大きな後ろ盾になっています。ただし収入の大幅な減少などまだまだ問題も多いです。
世帯内で収入の少ない女性ばかりがこの制度を利用することで、家事育児の男女間の不均衡が固定化されることも懸念されます。少しづつではありますが、政府も男女問わず育児と仕事の両立、男性の育児への参画を推進するため法の整備を進めています。
この制度が利用者への職場でのハラスメント、男性と同等のキャリアアップへの障害にならないよう、企業と社会全体の理解が今後ますます必要となるでしょう。